罪人の所以

「そう。あなたらしいわ」振り返ると、憎しみに満ちた形相で怒鳴る。「まだ飽き足らないのね。最後の最後まで奪おうというのね。このあたしを奪いきってしまおう、と」
「奪うんじゃない」つい、こちらも声が高くなった。「一緒にいて欲しいだけだ」
「納得いったでしょ、これで」
「……何が?」
「幸一さんが、あなたを羨んだわけが。おいしそうなものは何でもかんでもつまみ喰いして。飽きたら捨てる。楽器と同じよ。そう。楽器をあれこれ吹きちらかして遊ぶ感覚で」
(中略)
「そういう自己本位で奔放なあなたを、彼は羨んだのよ。あんなふうに振る舞えたらいいのに、ってね。世俗的なしがらみを平気で切り捨てて芸術に専念できる強さを自分も持ちたい、と」
「それは、強さなんかじゃない」
「そうよ。ただの身勝手よ。だから彼は、あなたのようにはなれなかった」

西澤保彦さん『黄金色の祈り』より

僕のセルフイメージと他人の評価には、大きなズレがあるらしい—その事実に、気づき始めたのだ。

同上















この種の人間を心底軽蔑してたつもりだったんだけどな。



はは。
俺も同類らしいや。





一人っ子だからな。