倒錯ヲ愛ス

身代わり (幻冬舎文庫)

身代わり (幻冬舎文庫)


「案の定、焼香を終えた彼は、明瀬さんの死という現実を否定的にしか捉えられていないようでした。はっきり口にしたわけではないけれど、明瀬さんのようにみんなに必要とされる人間があっさり生命を奪われてしまうこの不条理な世のなかで、自分のような者がいじましく生き続けようとするのは単に無意味なだけじゃなく、ぶざまですらある、と」
(中略)
「彼は自身の力で立ち直ったんだ。別に明瀬の死に特殊な意味を見出したからじゃあない。誤解を恐れずに言えば、むしろそこには意味なんかないと達観しない限り人間、立ち直れるものじゃないよ。判ってる、我々はどうしても、ひとの死に意味を見出したがる。それも絶対的、普遍的な意味をね。しかしちょっと考えれば判ることだが、意味なんて相対的なものにすぎない。それに対してむりやり絶対性を求める作業は、不可避的に己れの意識を虚無に向かわせる結果にしかならない。彼の場合で言えば、明瀬の死になにがなんでも意味を付与しようとするなら、自ら死んでみせることでしかそれは叶わない。そんなのってしかし、本末転倒ってもんだろ」

by 西澤保彦さん

本筋とあまり関係ないとこがやけに心に残るなぁと思ったのだが。
解説によると、そうでもないっぽい。
これシリーズものらしく、この本単体じゃなく、シリーズ全体中での位置づけからすると。





収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)

収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)

収穫祭〈下〉 (幻冬舎文庫)

収穫祭〈下〉 (幻冬舎文庫)

これは確かに名作だと思う。




殺す (幻冬舎文庫)

殺す (幻冬舎文庫)

グロい。




ソフトタッチ・オペレーション (講談社文庫)

ソフトタッチ・オペレーション (講談社文庫)

フェチにほっこりする不思議。




彼女はもういない

彼女はもういない

読んだの半年以上前だし前のブログでも書いたが再掲。







この人の作品の動機やら雰囲気やらの、あけすけなところというか、どうしようもないところというか。
倒錯というか、グロさというか、ニヒルさというか。
会話のテンポとか、ギャグやらセリフに滲む距離感みたいなものというか。
そういうのが今の自分にぴったり嵌まる。