じゃあいいんじゃないかな。

単調な歩調を順に数えて、早々に訪れた無限の先の次の一歩がまた何度目かの一歩目となり、何を数えていたのかわからなくなり、数を数えることさえ覚束なくなる。自分が何も考えていなかったことに不意に気がつき、自分は何も考えていないのだと考え続けて抜け出せなくなる。
わたしの歩みは機械に似ていく。あるいは屍者に似通っていく。自分の手足が意思を離れて勝手に動いているのを黙して眺める。わたしの命令に素直に応じるフライデーの体の方が、自分の肉体のような気さえしてくる。

by 円城塔さん


現実に受験生を担当しつつ、あれやこれやの思念に呑まれて、そこからふと醒めた瞬間、こういう気分になる。


ならもう、いいんじゃないかな。
好きにすれば。