鏡像の破壊

世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。
(中略)
けれども、その時以来、自分は、(世間とは個人じゃないか)という、思想めいたものを持つようになったのです。

by 太宰治さん


経験からスタンスを帰納しようとすれば、自己欺瞞に堕す。
(感情に引き摺られた過度の一般化)
論理からスタンスを演繹しようとしても、自己欺瞞に堕す。
(割り切りたいだけ)




世間が世界がどうあろうと自分は自分であると言い切るには、達観が要る。
ならば寧ろ死すべし、なる思考を放棄して初めて、主体性は回復される、らしい。
我以外に我の意味を託し初めて、我は意味を得る、らしい。
この一瞬を慈しむことが可能になる。


意思とは欺瞞。
人生はそのブレンド



そこにタカチがいる。タックがいる。先輩がいる。この歓びは、何かの代償のためにあるのではなくて……そう。ただその一瞬一瞬を慈しむためにあるんだ、と。

by 西澤保彦さん